Q.起業を考えるようになった経緯をお聞かせください。
勤務していたテレマーケティング会社で社内スタッフ教育に携わるようになるにつれ、私自身の専門性をもっと高めることが必要だと感じるようになりました。
もともと電話応対のことになると、「これは何でだろう?」「どうしてだろう?」と疑問が次々に沸いてきてしまって(笑)、それもあって5年ほど前から資格を取るための勉強を始めたんです。電話応対技能検定の4級から取り始め、1年前に県下で5名が保有している『指導者級』を取得しました。資格を取得し、実際に社内のスタッフに教える機会が広がったら、一方で「もっと広く色々な方に電話応対の奥深さを伝えたい」と思うようになりました。
また静岡県内に研修を受けられる場が殆どなく、私自身東京まで通っていたということもあって、「県内に研修のできる場所創りをしたい」と思ったのも起業を考えるきっかけのひとつとなりました。
Q.その他にも資格をお持ちだと伺いました。
Q.電話応対はテクニックだけではないということでしょうか?
そうですね。私が大切にしているのは『テクニック+心や気持ち、愛を込めた応対』なんです。テレマーケティングの現場でその必要性を実感してきました。
いくらスタッフに電話応対の技術を教えても、やはり《心》を育成していかなくては難しいんです。でも、会社内で「心の育成」をするのはコストも時間もかかるため、なかなかできることではありません。
クレーム対応をする際にも、技術だけ教えていては対応し切れない。そこに対応するには、技術に加えて《心》が本当に大切なんです。
Q.心が込められているのとそうでないのとでは、クレーム電話の対応に違いがあるのでしょうか?
大きな違いがあります。電話を掛けてきた方の《心》に焦点を当てて応対をするというところで、「どうしてこの方は電話を掛けてきたのかな?」と、その方の第一次感情を知ることにつながります。
第一次感情とは【不安、つらい、寂しい】などの感情を言いますが、電話口の方のその《心》に寄り添うんです。「なぜ掛けてきたんだろう?」「さみしいのかな、なにか埋めたいものがあるのかな?」…と。
クレーム対応の場合は時間が掛かってもそこまで持って行って、なんとかその部分を埋めるようにすると、クレームを言っていた方が納得してお電話を切るんです。こうした対応をするには、技術的なことを教えるのに加えて、やはりスタッフの《心》を育成しなければなりません。
Q.このあたりを地口さんはお客様へどう伝えているのでしょうか?
Q.起業についてお聞きします。4月にオフィスをオープンされたと伺いました。
Q.起業する上で一番大変だったことは何でしたか?
全部大変でした(笑)。ですが、そのあたりは関係機関にサポートをしていただき、どうにか乗り越えることができました。昨年度開催されたウーマン起業カレッジに参加したことで、起業に向け心が決まった面もありますし。でも何より大変だったのは、そこに至る前の段階で、『心の準備』を明確化することでした。
「起業」が頭に浮かび始めたのは4年程前のことです。当時会社員だった私は、朝出勤する前にカフェに立ち寄り、そこでセルフコーチングを毎日していました。「起業したらどうなるんだろう?」「成功/失敗したらどうなるのか」を考えたり、必要な起業準備の想定をしたり…。「今ならまだ引き返せる」「いや、でもやりたい…!」など、約1年間、そんな自問自答を繰り返していんです。
結果、どうしても起業したいという思いが不安に勝り、しばらくして在籍していた会社にも告げました。それから会社が後任を見つけるまでの間、私自身も責任をきちん果たす形で退職したかったということもあり、1年ほど働いた後で円満退社をしました。
Q.では、起業して良かったことは何でしょうか。
これからの展開についてお聞かせください。
Q.このオフィスを交流の場にすることもお考えだそうですね。
はい。このオフィスを『楽習の場』として、週末や祝日など私の業務がない時にご提供する予定です。すでにGWにはいくつかのワークショップで利用していただきました。
自分自身が今回起業を経験したということもあり、「起業したばかりで場所がない」という方々のお役に立ちたいと思うようになったんです。実際にワークショップやセミナーを行なうことで自分自身を振り返ることができますし、人との繋がりも生まれます。
それから、育児休暇後に社会復帰を考えているママ達のサポートもできたらと考えています。電話対応を始め、社会復帰に役立つワークショップなどを行なっていけたらいいですね。
Q.最後に、これからエフドアを利用される方々へ一言お願いします。
今回私自身がそうでしたが、「起業して事務所を借りたのはいいが、その後何から始めたら良いんだろう」と戸惑う方もいるのではないでしょうか。エフドアさんに今後期待することとしては、そうした時何を先にするべきか、優先順位の付け方などが分かるような講座を開催してくださったら良いと思います。
起業をお考えの皆さまには、「こんなこと相談しても良いのかな」と思わず、エフドアのドアを開けてみてほしいです。私も最初はエフドアへ行くのに不安でしたが、村松コーディネーターをはじめ、人間味があり温かい皆さんが迎えてくれます。
頭の中でほわっとした「こんな風にできたらなぁ」という思いを心に寄り添って形にしてくれますし、その過程で良いことだけではなく、悪いこともきちんと伝えてくれます。ぜひエフドアの扉を叩き、思いを形にしてほしいですね!
~インタビューを終えて~
地口さんへのインタビューを通し、いかに地口さんが「電話応対」に深い熱意を持っておられ、どれほどの覚悟をもって起業なさったのかが強く伝わってきました。『テクニックだけではなく、電話応対には《心》が必要』と何度も言われた地口さん。24年間テレマーケティングのお仕事に携わって来られたからこその、非常に重みのある言葉でした。
それから、地口さんがこのお仕事が本当に好きで、まさに《心》を込めて働いてらっしゃるのだということも改めて感じました。だからこそ、電話の向こう側にいる方にも、そんな地口さんの《心》がよく伝わっていくのかもしれません。
顔は見えなくても、相手に《心》は伝わるのだなと、自分自身の電話応対を振り返る良い機会にもなりました。お話くださったことを生かし、仕事や日常生活において《心》をもっと大事にしていきたいものです。
地口さん、お忙しい中本当にありがとうございました!
☆地口伊智子さんの会社情報はこちらから☆
■ハルソラ合同会社 ホームページ
■ハルソラ合同会社 facebookページ
地口さんは、大手テレマーケティング会社への入社を機にテレマーケティングという仕事に出会い、以後24年間、転職を経ながら「電話道」一筋でキャリアを築かれました。
専門性を極めるため、県内で5名しか保有していない『電話応対技能検定指導者級』をはじめとした資格も取得。その後、起業に向けた準備をするとともに、「平成28年度 志太ビジネスプラングランプリ」に応募しました。結果は、見事準グランプリを獲得。そして今年4月、電話応対・テレマーケティング・ビジネスマナーを主事業とする【ハルソラ合同会社】を設立されました。
今回はそんな地口さんのオープンしたてのオフィスに伺い、仕事にかける熱意や電話応対などについてたっぷりお話を伺いました。