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エフドア利用者の声【 第11回 】飯塚広美さん~「すぷうんおばちゃん」代表 ~

お名前 飯塚 広美さん
店名 すぷうんおばちゃん
業種 「食べながら、鉛筆の正しい使い方を身につけるスプーン」の開発・販売
活動エリア 主に藤枝市、近隣の市町
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第11回目の「エフドア利用者の声」は、『すぷうんおばちゃん』代表の飯塚広美さんです。
飯塚さんは、長年小学校低学年の児童の指導にあたってこられました。その中で、近年「3点持ちで鉛筆が持てない子ども」が増えてきたことに危惧を覚えた飯塚さん。「食べながら、鉛筆の正しい使い方を身につけるスプーン」の開発をしようと思い立ちます。

《スプーンの持ち方》は《鉛筆の持ち方》に繋がる、それを目の当たりにされてきた飯塚さんだからこそ思いついたスプーンの形。最初は紙粘土の試作品だったものが、様々な出会いを経て、今では素晴らしい商品になりました。(特許出願中)
最初にエフドアを訪れてからわずか1年半程でここまで形作った飯塚さん。今回はエフドアにお越しいただき、これまでの経緯についてお話を伺いました。

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Q.起業を決意するまでの経緯についてお聞かせください。

私は、小学校低学年の指導を長年してきた中で、近年鉛筆の持ち方に癖がある児童が多いことに気がつくようになりました。
そこで数年前から、「小学校入学前には癖になる鉛筆の持ち方を、正しい持ち方にしたい」と強く思い始めたのです。

どうしたら良いのか色々考えた末に、幼児期に誰でも持つ《スプーンの持ち手》を三角柱に作り替えることを思いつきました。試行錯誤しながら、紙粘土を用いて、持ち手が三角柱のスプーンを試作したのです。その後幼児対象に持つ練習をしたところ、多くの子の鉛筆の持ち方が格段に良くなりました。
持ち手の形を変えるだけで、『スプーンで楽しく食べながら、正しい鉛筆の持ち方の練習ができる』のだとしたら、救われる子供が増えるのでは?…こう思い始めたことが、起業を考えるようになったきっかけです。

Q.起業を思い立ってから、どのような準備をされましたか?

思い立って、退職を決めてから起業するまで、1年半かかりました。

まず、主人と成人していた子ども3人と話をし、退職を決めました。なるべく周りの人に迷惑をかけない形になるように退職準備をしました。

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退職後まず始めたのは、スプーンを作ってくれる工場を探すことでした。
岡部や静岡市の金属団地を皮切りに、インターネットで情報を集めて山梨や長野、横浜にも足を延ばしました。ところが、工場側が示す「最小ロット数」が私にはとても大きすぎて断念することばかり。中には、事前にインターネットで住所を調べて行ったのに、目的地に着いたらあるはずの工場が無かった…なんてこともありました。そうしたことを経て、やっと製造を引き受けてくださる企業さんに出会うことができました。

工場を探すと同時に、特許出願に向けての準備も始めました。出願した後は、試作品を作ってくれるところを探しました。
試作品を作ってくださる方との出会いは、エフドアさんを通してでした。結果、ひとつひとつ手づくりのスプーンを作っていただくことができました。試作品ができ、今度は試作品のモニターをお願いしました。実際使ってくださった方々にご意見を伺いながら、スプーンに改良を加えていきました。モニターさんの感想を知る中で、「確実に、商品として必要としてくれる人がいる」という実感を得ていったのです。その実感を得られたことにより、起業を決意しました。

また起業するにあたり、藤枝市の起業セミナーを受講したり、エフドアさんに相談に乗っていただいたりもしました。起業に向けての心得や、具体的なノウハウを教えていただきました。

Q準備をする中で、どのようなことが大変でしたか?

強い想いは持っていたものの、肩書がないため、多くの会社・工場では、話を聞いてもらう前に断られてしまうことが多かったです。
藤枝市や、エフドアが間に入ってくださり話を聞いてもらうことができました。また、一度目はだめでも、何度も何度も繰り返す中で、少しずつ分かっていただき門戸を開けてくださったところもありました。「諦めない」ことが大事だと実感しました。

それから私はIT系が強くなく、特に最初はそれで苦労しました。
例えばメールです。それまで「メールを使って営業をする」なんて経験をしたことがありませんでしたから、書いた内容がおかしくはないか、送信したメールが先方にちゃんと届いているのか、そうしたことの一つ一つが心配でなりませんでした。実際に連絡がうまく取れなかったこともありましたし。。
でも昨年度参加させていただいた【ウーマン起業カレッジ】で教えていただいたことが、とても役に立ちました。カレッジ受講生の方々もメールの書き方について助言をくれたり、力になってくださったことが有り難かったです。

Q.では、実際に起業した後はいかがでしたか?

商品が出来上がるまでに、予想外の費用がかかりました。起業前にある程度は予想していたものの、《移動すれば交通費》、《連絡を取ろうとすれば通信費》、《お付き合いの食事代》など、かかる経費は思っていた以上でした。起業しても、商品を知っていただくまでは利益が出る訳ではありませんから。

そして何より、《すべての判断を一人ですること》にはじめは戸惑いを感じました。起業して、「自己責任」の言葉の意味を実感しました。

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Q.「この仕事を始めて良かった」と感じる時はどんな時でしょうか?

商品の性質上、「鉛筆やお箸の正しい持ち方」や「その必要性」などを話しながら販売します。そこで関わることができたお客様や、お子さまが喜んでくださることが何よりの喜びです。

また、スプーンがきっかけとなり、子どもの成長のために一生懸命前向きに取り組む皆さんと出会うことができ、沢山のエネルギーをいただいています。スプーンをご使用中の写真や動画を送ってくださったり、その後の成長の様子を報告してくださる方もいて、遠い親戚のおばちゃんのように、お子さまの成長と少しでも関われることがとても嬉しいです。

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Q.今後の事業展開についてお聞かせください。

幼児と関わりのある多くの皆さんに、商品や、その必要性を知っていただけるよう伝えていきたいと考えています。

商品については、使っていただいた感想をもとに改良を加え、より三点持ちがしやすく、楽しく食べる中で基礎的な力のつくものにしていきたいと思います。
また安定的に商品をお届けできるように、「すぷうんおばちゃん」の商品の金型を作り、ある程度の大量生産にも対応できるようにしていきたいです。

何より、私のスプーンを必要とするお子さんが《三点持ちという生活技術》を習得できるよう、子どもと関わる大人の皆さんに伝え続けていきたいです。
《三点持ちという生活技術》を習得するには、周りの大人の適切な支援を欠くことはできません。ですから根気強く伝えていきたいと強く思うのです、それが常識となるまで。

(セミナー等で、ご自身の起業やスプーンについてお話される飯塚さん)
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Q.エフドアを利用された感想をお話ください。

エフドアへは、自分一人で解決・選択できないと思った時に、駆け込み寺のように飛び込みました。

落ち込んでいる時には励ましていただき、困っている時には必要な情報をいただき、迷っている時には背中を押していただきました。エフドアがなければ今の私はいません。
基本的に「起業」すると一人なのですが、見守ってくれる仲間がいるようで温かな雰囲気にいつも救われました。

今後エフドアを利用される皆さんへ、一言お願いします。

鏡を見て、「困ったなあ」って浮かない顔のあなた、静かな図書館の白い小さなドアをノックしてみてください。
まるで身内の相談ごとのように親身になって考えてくれ、調べてくれます。何よりも、今の悩みを聞いてくれ、整理してくれ、悩みの本質をプロの目でわかりやすく整理整頓してくれます。
次に何をすれば良いかが分かり、エフドアを出る時には、前向きな光があなたの瞳の中で燃え始めることと思います。

『すぷうんおばちゃん』のスプーン

① 3才児からの3点持ちスプーン ~この商品は販売を終了しています~

5本の指を別々に自在に動かせるようになった3歳児が、それまでの握り持ちから逆手持ちに代わるころ使わせたいスプーン。

優しい感触の木製スプーンです。

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② 年長児のための「三角スプーン」

5歳児のための三点持ちスプーン。

持ち手は三角柱状で、親指と人さし指が柄を掴みやすい様にゆるやかなくぼみが側面についています。

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少し重みがあり、すくえば書字の「はらい」、かき混ぜれば「まげ」や「結び」の動きにつながります。楽しく食べながら自然と鉛筆の持ち方、使い方と同じ手の動きをします。
(・持ち手11cm  ・太さ1辺11~14mm   ・重さ約30g)☆一本一本心を込めた手作りの商品です。
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~インタビューを終えて~

長らく《先生》だった飯塚さんが「起業しよう」と思い立ち、エフドアにいらしたのは今から約1年半前のことでした。
当時は、「起業について右も左も分からない」とおっしゃっていた飯塚さん。それが今では頭に描いていた商品を形にし、特許出願もされ、ブログやショッピングサイトの運営もなさるようになりました。「これから起業したい」と考えている方々に先輩起業家としてお話をされる機会も増え、今後さらなる活躍が期待されます。
ですがその裏で並みならぬチャレンジをされ、例え困難が起きても前を向いて乗り越えてこられたのだと、今回改めて感じました。「こうしよう」「やってみよう」と思ったことを実行され、すぐ結果に結びつかなくとも諦めない。その姿勢を貫くのは、決して簡単ではありません。

いつもニコニコと素敵な笑顔を絶やさない飯塚さん。【子どもに三点持ちという生活技術を習得してほしい】という強い気持ちを核に、これからも笑顔で新たなチャレンジをなさっていくことと思います!飯塚さん、今回は本当にありがとうございました。

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